インプラント治療
以前は歯を失った部分には、入れ歯かブリッジによる方法しか食べるための機能を回復させる治療法はありませんでした。歯を失った人が自分の歯のように食べられるようになりたいという要望に対する私たちの対策は永遠のテーマです。インプラント治療はその夢のような状況になるために大きく近づくことができた治療法のひとつです。現在、チタン製のねじ山のような筒状のインプラント体を失った部分の骨に埋入し、骨との結合を達成しようという考えで開発されたインプラント(骨結合タイプ、オッセオインテグレーションタイプ)が主流です。
当クリニックは1992年からこのオッセオインテグレーションタイプのインプラントを採用し、数多くの患者さんの治療を行なってまいりました。それらの患者さんに当クリニックで埋入されたインプラントは現在のところ、脱落などの思わしくない、いわゆる、失敗症例は見いだされておりません。術前の診査の厳格さと原則にのっとった治療の実践とその後のメインテナンスの徹底でそのことが達成されているのだと思っております。
残念ながら、日本のインプラント治療の成功率は欧米のそれと比較し劣るようです。最近の日本の状況はその失敗症例の問題が社会問題になり、我々歯科医はそれに向けて真っ正面から取り組まなくてはならないと思っております。
当クリニックでは一般的なインプラント治療の原則以外に、当クリニック独自の下記の基準にのっとりインプラント治療を行なっております。
- (1) 基本的には当クリニックでメインテナンスを継続的に受けておられるか、確実に受け続ける状況が確認できる方のみに行なう。
- (2) インプラント治療に際し、より専門性の高い研究途上の技術が必要な症例の方の場合は、大学病院などの口腔外科および麻酔科の併設している医療機関と連携して行なう。
- (3) インプラント治療の効果だけでなく、むしろ最も大事なリスクを正しく認識していただける方のみを対象にする。
インプラント治療が歯を失ってしまい、種々な機能を失ったという欠損が病気としてとらえるなら、そういう疾病への治療ではあっても、インプラントを埋入することにより新たな本当の炎症のような病気を作らないために、治療の慎重さは強調してもしすぎることはないと思っております。
ご希望の方やご興味のある方は直接ご連絡ください。
治療例1 - 長期の症例 -
1994年左下奥歯の歯の根が割れて2本奥歯を失うことになりました。普通では入れ歯しか機能回復させる方法はありません。
1995年インプラントを埋入し噛めるようになりました。
もちろん、お口の中の噛み合わせの改善や歯茎のメインテナンスも継続的の行なっています。
下の写真は2008年、レントゲン写真は2006年の状況です。現在まで定期的なメインテナンスをまじめに受けておられ、確実に口腔の機能の維持はなされています。
治療例2 - 大学病院との連携 -
2007年に両側の上の奥歯が二本づつ歯周炎で失われた患者さんの症例です。
患者さんはインプラントによる機能回復を望まれましたが、上の顎の骨が上顎洞(副鼻腔)の位置と大きさのため少なく、普通の状況ではインプラント体を埋入することはできませんでした。
その改善のため上顎洞に骨を移植する手術を新潟大学医歯学総合病院インプラント治療部の星名秀行先生にお願いしました。
下の画像は移植後のCT像です。
その後、当クリニックでインプラント体の埋入と噛む部分の修復物(上部構造物)の装着を行ないました。
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下の2枚の写真は、当クリニック勤務の本多源次郎技工士による上部構造物の製作過程です。
下の写真は患者さんに上部構造物を装着した時の画像です。
[右]
[左]
このような大学病院との連携治療は大変重要だと思っております。
その後、現在でも継続的にメインテナンスを受けておられます。